ごあいさつ
チャンティング(歌をうたう)
プラナヤーマ(呼吸)
アーサナ(ヨガのポーズ)
シャバーサナ(リラックス)
セッションの様子
yogaほどまるのセッションは、病気や障害の治療を行うものではなく、短期間で劇的な変化が起こるものでもありません。
初めのうちは、緊張や不安などで、うまくいかないこともあるかもしれません。
でも、セッションでは「うまくやること」よりも、「今日できること」を楽しんでいただきたいと思っています。
プラクティショナーがすべて指示・サポートするのでなく、あなた自身が体のうごきを探求できるように、ガイドしてゆきます。
あなたの心と体をじっさいに感じられるのは、あなただけだからです。
実際のセッションで、どんなことに注意し、どんなことに取り組んでいるのか、どんな変化があるのか、2つの事例をご紹介します。
●高校2年(女性)ダウン症
セッション週1回(月4~5回)2ヶ月目
ダンスなど体を動かすことがお好きと伺っていたので、初日はまず、今どんな体の使い方をされているのかを確かめようと思い、ヨガのベーシックなポーズを数種類とっていただきました。
ダウン症の方に多い「体の柔らかさ」が彼女にも見られました。
柔軟性が高い反面、ご自分の体を支える筋力が弱く、多くのポーズで姿勢をキープすることが難しいようです。
また、日常生活では階段を下りるのが難しく、怖く感じているということも教えていただきました。
膝の屈伸についてのお悩みも伺えました。
そこで、得意な体勢を中心にできることを広げること、バランスよく全身を使うことの2つに重点をおいて、セッションを組んでゆきました。
できるだけご自分で調節できるように、体の部位や力の入れ方など、必要最低限のポイントをガイド。
「背中をしっかり使います」などと声をかけると、きちんと背中に意識を向け、自分で心地よい姿勢に調節していきます。
自分の心地よい姿勢を知っているから、しっくりこない姿勢にもすぐに気づくことができています。
初めはプランクのポーズがとくに難しく、体重のかけ方や力を入れる部分がわからないようでした。
ですが、苦手なプランクだけ何度も練習するのではなく、立位、座位、寝位などさまざまなポーズを取り入れたセッションをつづけました。
こうして体のあらゆる部位を使っていったところ、11回目のセッションでは、プランクもキープできるように!
苦手だったポーズの克服が自信となり、他のポーズにも果敢にチャレンジ中です。
プラナヤーマ(呼吸)も、初めは私の呼吸のリズムに合わせていることが多かったですが、現在はご自分の呼吸に意識を向け、ご自分のリズムでゆったりと呼吸ができています。
また、基本的な胡坐(あぐら)の姿勢も、以前はふらついてお尻の位置が定まらない感じがありましたが、今はスッと美しい姿勢で座ります。
いつも笑顔で「大丈夫! できる! やってみたい」と前向きな彼女。
どんどん素敵なチャレンジを続けていくんだろうなと、これからも楽しみです。
●小学3年(女子)知的障害
セッション週1回(月4回)5ヶ月目
彼女とのセッションでは、呼吸や動きはもちろん、その後の「お片づけ」の時間も大事にしています。
ヨガマットを丸めて、バンドをし、袋に入れる。終わったことを確認し、気持ちを整える。
短い時間ですが、彼女のペースで「できた!」をひとつでも多くを積み重ねてもらいたくて取り組んでいることです。
できないことがあると焦りを感じるのか、パニックになってしまうこともある彼女。
焦らなくていい、ゆっくりでいいんだよと伝えたい。
「言われた通りにできた」がゴールではなく、自分が納得できたかどうかを、大切にしてほしい。
そのためのスモールステップのひとつが、このお片づけです。
ある日、こんなやりとりがありました。
マットが袋に入らず「できないーー!」と。
しかしイライラしながらも、くり返しやってきたことだからか、どうしたらいいんだろうと考えている様子。
「もう一度巻き直してみたらどうかな?」と声をかけてみると、「できないかもしれないからやらない」という答えが返ってきました。
これは今まで「できない」ことで傷ついてきた体験の結果かもしれない、と気づきました。
「できないかもしれないこと」はやらないほうがいい。傷つかないように、つらい思いをしないように……その選択に慣れてしまっているのかも。
それでも、本当はいろんなことにチャレンジしたい、前向きな気持ちを彼女が持っていることも知っています。
何度も伝えてきたことを、今回も伝えました。
「大丈夫、やってみよう。どうしてもできなければ、ゆうこさんも手伝うよ」
そして手を出さずに見守りました。彼女を信じて。
彼女は少し迷ったあと、一人で静かに巻き直しはじめました。
小さな手で慎重に巻いたマットは、さっきよりも綺麗に丸めることができ、袋にスルッと入っていきました。
彼女はそれを満足そうに見て、心も落ち着いたのがわかりました。
時にはマットをうまく丸められなかったり、袋に入りきらなかったり、途中でやめてしまったこともあります。
けれど何度かくり返すうち、巻き方がいびつだったりぎゅうぎゅう詰めになったりしても、一人でできる日が増えてきました。
「どうしても一人でできないと思ったら声をかけてね」と伝えて、私は自分の片づけをしながらそっと見守っています。
「今日のヨガはいかがでしたか?」と聞くと、「たのしかったー!」という声が返ってくる日が増えてきました。
でも、調子が悪い日はちゃんと「たのしくできなかった」と言ってくれます。
そして「たのしくやりたかった」とすごく悔しそうな顔をします。
「そうかぁ。そんな日もあるよね。でも、またできる日がくるから、その時また楽しもうね!」
そう言うと、「うん」と力強く頷いてくれます。
「お片づけ」をはじめ、小さなチャレンジと成功をくり返しながら、彼女の「やってみよう!」が大きく育っていきますように。